プレイングカードは、通常52枚(ジョーカー含む)で構成され、スペード、ハート、ダイヤ、クラブの4つの記号が特徴です。
このカードセットにはJ、Q、Kといった特別なデザインが施されています。
英語圏で「playing cards」と呼ばれるこれらは、”trump”としても知られ、ゲーム内での切り札を指します。
しかしながら、この英語の「trump」を日本人が誤解し、ゲーム全体の名称として用いるようになったため、日本では広く「トランプ」という名前が定着しました。
4種類の記号はそれぞれ特別な意味を持ち、J、Q、Kには実在した人物がモデルとされています。
4つのシンボルの象徴的意味
これらのシンボルは、中世ヨーロッパの社会階層を象徴しており、カードの強さの順序(スペード>ハート>ダイヤ>クラブ)にも反映されているとされます。
スペード
「剣」を表し、貴族や軍人の象徴とされます。
イタリア語で「spade」は剣を意味し、また、死を象徴するとも言われます。
ハート
「聖杯」を表し、僧侶や聖職者を象徴します。
元々は教会の聖杯を表すマークで、愛の象徴でもあります。
ダイヤ
「貨幣」を表し、商人を象徴します。
ひし形のデザインはダイヤモンドを連想させます。
クラブ
「こん棒」を表し、農民を象徴します。
英語で「club」はこん棒を意味し、知恵や学問の象徴とも言われます。
季節を象徴するマーク
各マークは四季を表しています。
・スペード:冬
・ハート:秋
・ダイヤ:夏
・クラブ:春
52枚のカードが52週を、AからKまでの13枚がそれぞれの季節の13週を表します。
カードの数字を合計すると364、ジョーカーを加えると365日となり、うるう年にはエキストラジョーカーが対応します。
絵柄のモデルについて
K、Q、Jの絵柄には、特定の歴史上の人物がモデルとなっています。
・K:「王」
・Q:「女王・王妃」
・J:「兵士」
ジョーカーは「冗談を言う人」、即ち道化師を表します。
K(キング)の絵柄
・スペード:ダビデ王
・ハート:シャルルマーニュ
・ダイヤ:ジュリアス・シーザー
・クラブ:アレキサンダー大王
Q(クィーン)の絵柄
・スペード:パラス・アテナ
・ハート:ユダヤの女傑・ユディト
・ダイヤ:ヤコブの妻・ラケル
・クラブ:アンジュー公女・マリー
J(ジャック)の絵柄
・スペード:騎士オジェ・ル・ダノワ
・ハート:軍人ラ・イール
・ダイヤ:戦士サー・ヘクター
・クラブ:騎士サー・ランスロット
絵札の顔の向きと関心の度合い
絵札に描かれた顔の向きや角度は、各マークに対する関心の強さを表しています。
例えば、
・ダイヤのキング:ダイヤに完全に向いている。高い関心を示す。
・クラブのキング:クラブにわずかに向いている。それなりの関心を示す。
・スペードのキング:スペードからわずかに顔をそむけている。関心が低い。
・スペードのジャック:スペードから完全に顔をそむけている。関心がない。
キング
・スペード:関心が低い。
・ハート:ある程度の関心。
・ダイヤ:高い関心。
・クラブ:それなりの関心。
クィーン
・スペード:関心が低い。
・ハート:それなりの関心。
・ダイヤ:それなりの関心。
・クラブ:それなりの関心。
ジャック
・スペード:関心がない。
・ハート:高い関心。
・ダイヤ:それなりの関心。
・クラブ:関心が低い。
スペードのエースの特別な装飾について
他のカードとは異なり、スペードのエースには特別な装飾が施されています。
これは、過去のイギリスでトランプに関連する税金を払った証明としての意味合いがあります。
トランプに課せられた税金の歴史
スペードのエースが独特のデザインを持つのは、トランプに税金が課されていた時代の名残です。イギリスでは1615年に輸入トランプへの関税が導入され、1628年には国内製造のトランプにも税が課されました。
その後、他のヨーロッパ諸国もこれに倣い、スペードのエースのカードは税金の支払いを証明するために政府が発行するようになりました。
その結果、スペードのエースは納税の証明書としての役割を担っていたのです。
偽造を防ぐために、このカードには「王冠の模様」や「製造者の名前」などが含まれることもありました。
現在でも、スペードのエースが他のカードよりも装飾されているのは、この歴史的背景によるものです。
日本におけるトランプへの課税の歴史
日本では現在トランプに税金は課せられていませんが、かつて消費税が導入される前には、「トランプ類税」として課税されていました。
この税は、最終的には1組あたり40円が課せられるまでになっていました。
プレイングカードは、単なる遊び道具を超えた、豊かな歴史と文化的背景を持っています。
それぞれのマークや絵札には特別な意味が込められており、その起源や変遷を知ることは、ゲームを楽しむ際の理解を深めるでしょう。