庭いじりの際に重宝するシャベルやスコップは、砂遊び用の小型版から雪掻き用の大型版まで、様々なサイズがあります。
このシャベルとスコップには何が違うのでしょうか?また、なぜ関東と関西で名称が異なるのでしょうか?これらの疑問に答えるために、それぞれの特徴と地域ごとの呼び名の違いを紹介します。
シャベルとスコップの特徴
名前の起源
シャベル(またはショベル)とスコップは、土や砂利、石炭、雪などを移動させるために使用される道具で、柄の先に金属製の部品が取り付けられ、持ち手の有無が異なります。
・シャベルは「shovel」が語源で英語由来
・スコップは「schop」が語源でオランダ語由来
とされており、どちらも「土を動かすための道具」という意味を持っています。異なる言語が同じ意味の道具に使われているのは面白いですね。
JIS規格に基づく両者の区別
JIS規格(JIS A 8902)では、以下のようにシャベルとスコップを区分しています。
足を置ける平面部分があるかどうかで、
・ある場合 ⇒ ショベル(JISではシャベルではなくショベル)
・ない場合 ⇒ スコップ
とされています。ここでいう「足を置ける部分」とは、スプーン部分と柄の接続部を指します。平らであればショベル、なければスコップと分類されます。
しかし、サイズに関する具体的な規定は存在しません。
そのため、JIS規格では、手で持てる園芸用の道具でも「足を置ける部分」の有無によってショベルかスコップかが決まります。
関東と関西での呼び名の違い
サイズによる区分
関東と関西では、サイズによってシャベルとスコップの呼び名が逆になります。
特徴(サイズ) 関東の呼び名 関西の呼び名 小型(片手で持てる) シャベル スコップ 大型(全長約1m、両手で使用) スコップ シャベル
このように、サイズで区別されているにも関わらず、関東と関西では呼び名が逆転しています。ただし、「足が置けるかどうか」というJIS規格には関連性はありません。
地域間での差異の原因
関東と関西で呼び名が逆転する理由ははっきりしていませんが、いくつかの説があります。
◎油圧式ショベルの大型化により、シャベルが大きな道具を指すようになった
これは一つの考え方ですが、シャベル(ショベル)が油圧式ショベルよりも先に存在していたという事実もあり、必ずしも説得力はありません。
◎英語圏におけるshovel(ショベル)とscoop(スクープ)の使い分け
英語では「shovel」が大きな道具を、「scoop」が液体や柔らかいものを扱う小さな道具を指します。しかし、これだけでは関東と関西での呼び名が逆になった理由を完全には説明できません。
混同を避けるためのポイント
〇サイズを明確に伝える
シャベルやスコップを求める時は、そのサイズを具体的に伝えると、伝わりやすくなります。さらに、相手の出身地に合わせた呼び名を使用するのも効果的です。
〇道具の種類で区別する
また、道具の種類に応じた呼び名を使うのも一つの方法です。これにより、より明確に状況を伝えることができます。
・剣先スコップ
尖った先端が特徴で、土を掘るのに適しています。
・角型スコップ
平らな先端が特徴で、土や雪の運搬に用いられます。
・雪かきシャベル(除雪用シャベル)
プラスチック製のスプーンに金属板が取り付けられたもので、「スノーダンプ」や「ママさんダンプ」とも呼ばれます。
・園芸用こて(移植ごて)
小型で、関東ではシャベル、関西ではスコップと呼ばれることが多い園芸用の道具です。苗の植付けに使用されます。
地域による呼び名の適応
関東と関西では、スコップとシャベルのサイズに基づいた呼び名が異なります。関東では大きなものがスコップ、小さなものがシャベルとされ、関西ではその逆です。逆転の理由は明確ではないものの、住んでいる地域の習慣に従って適切な呼び名を使い分けることが重要です。JIS規格や特定の道具名に基づく区別も一つの方法です。
この知識を友人や同僚との会話で活用し、地域ごとの文化の違いについて話してみるのも楽しいかもしれませんね。