古文書を調べる際、今日ではほとんど使われない単語に遭遇することがよくあります。
文の流れから大まかな意味は推測できますが、やはりその詳細な意味を知りたくなりますよね。
そういったやや複雑な言葉として、「漸次」と「暫時」が挙げられます。
似た構成の漢字を使っていますが、実はそれぞれ異なる意味を有しています。
以下では、漸次と暫時の意味や読み方、具体的な使用法を例を挙げてご説明しますので、是非参照してみてください。
「暫時」についての解説と読み方
一時的な、しばらくの間
「暫時」は「ざんじ」と読みます。
「一時的な、しばらくの間」という意味です。
「しばらく」という言葉は漢字で「暫く・暫」と表され、そこに「時」が組み合わされると「一時的な間」という意味が生まれます。
「漸次」や「暫次」など、似ている表現と混同しないよう注意が必要です。
「一時的・しばらく」という表現は、どのくらいの期間を指すかという疑問が生じます。
「しばらく」と言うと、長すぎず短すぎない、不明確な時間を指します。
このため、状況によって解釈する必要があり、明確な定義を望む方には少し不透明かもしれません。
「漸次」についての解説と読み方
徐々に、段階的に
「漸次」は「ぜんじ」と読みます。
「徐々に、段階的に」という意味を持っています。
これは時間が経過するにつれて徐々に変わる様子を示しています。
同様に、「暫時」や「漸時」といった表現と誤解しないよう留意が必要です。
漸次と暫時の相違点
漸次と暫時は、見た目や音が似ているため混同しやすいです。
それらの違いを比較してみましょう。
暫 時 | 漸 次 | |
読み方 | ざんじ | ぜんじ |
漢字の構成 | 暫(ざん)+時 | 漸(ぜん)+次 |
意 味 | 一時的、しばらくの間 | 徐々に、段階的に |
暫時の「暫」と漸次の「漸」は異なる漢字を使用しています。
したがって、読み方や意味も異なります。
暫時と漸次の実用例
暫時の使用法
暫時は、以下のような状況で用いられます。
・ここで暫時休憩しましょう。
例えば、国会の議会録において、議長がこのように発言する場面があります。
これは「一時的に休憩しましょう」という意味で、国会の議論を一時停止することを示します。
・暫時お待ちいただけますか。
相手にしばらく待ってもらう際に、礼儀を尊ぶ表現として使用されます。
・突然の事態に、暫時誰も動けなかった。
「暫時」は「一時的な間」という意味を持ち、「暫時の間」という表現も一般的です。
意味合いは「一時的、しばらくの間」と同じです。
漸次の使用法
続いて、漸次の使用法をご紹介します。
・風疹の感染が漸次広がっているため、予防接種の推進が必要です。
・不利な状況を察知した将軍が、漸次撤退を指示した。
病気の感染や状況の変化が急激ではなく、徐々に進行する場合に漸次が用いられます。
数の増減が徐々に起こる状況や、やや正式な表現に適しています。
「暫時」と「漸次」の類似点と重要な違い
「暫時」と「漸次」は見た目や音が似ていますが、使用する漢字や意味が異なります。
・暫時は「ざんじ」と読み、一時的、しばらくの間という意味です。
・漸次は「ぜんじ」と読み、徐々に、段階的にという意味です。
これらの似ているが異なる意味を持つ言葉を、適切に使い分けることが重要です。