普段は野菜の購入にスーパーマーケットを利用することが多いですが、たまには野菜店での会話を楽しみながら買い物をすることもありますね。
野菜や果物を扱うお店、一般に「野菜店(やおや)」と呼ばれるこの名称がどのようにして生まれたのか、その由来やユニークな読み方が気になります。
この記事では、次のトピックスについて詳しく解説していきます:
・野菜店の名前の由来
・「やおや」がなぜ漢字で「野菜店」と表されるようになったか
・類似する言葉の存在について
これらについて一つ一つ説明しますので、参考にしてください。
野菜店の名称の始まり
「青屋」から変わった「やおや」
野菜店とは、野菜や果物、山菜、キノコ類などを販売する店のことです。
店舗によっては、乾物やドライフルーツ、カットフルーツ、漬物、缶詰も取り扱っています。
野菜や果物を売るお店が「やおや」と呼ばれるようになったのは、昔の野菜の呼び名が起源です。
野菜や果物は一般に「青物(あおもの)」と称されていました。
ここでの「青」とは緑色を指し、昔は緑色のものも青色とされていました。
そのため、野菜や果物を扱う店は「青物を売る店」として「青屋(あおや)」と呼ばれていました。
この「あおや」が時間を経て「やおや」となったわけです。
染物屋との区別のため
野菜や果物を扱う「青屋」には別の意味もありました。
それは藍染めの業者のことで、藍の青色からそう呼ばれていました。
混同を避けるために、野菜や果物を売るお店を別に「やおや」と呼ぶようになったのです。
発音のしやすさから「やおや」へ
言葉はより発音しやすくなる方向に自然と変化します。
「あおや」よりも話しやすい「やおや」に変わったという理由があります。
実際に発音してみると、「やおや」の方がなめらかに言えることが感じられます。
「八百屋」という漢字が用いられる理由
「八百」= 数多く
「やおや」という言葉に「八百屋」という漢字を使うことが不思議に思われるかもしれません。
日本では、多くのものを表す際に「八百(やお)」という言葉が用いられていました。
「八百」とは、文字通り「800」という数字ではなく、「数えきれないほど多い」という意味を持っています。
八百屋で扱われる商品の多さを示すために、「やおや」という言葉に「八百屋」という漢字が採用されました。
他にもある「八百〇〇」の言葉
「八百屋」の「八百」は、数えきれないほどの多さを示しますが、類似する表現が他にもあります。以下、よく知られている表現を3つ挙げてみましょう。
八百万の神
特に有名なのが「八百万の神(やおよろずのかみ)」です。
神道では、あらゆる場所やもの、自然現象に神が宿るとされています。また、故人も神となり、子孫を見守るとされています。
神道では、無数に存在する神々を「八百万の神」と表現しています。
八百長
「八百長(やおちょう)」とは、競技を正当に行わないことを指す言葉です。
賭け事に関わることが多く、勝敗を事前に操作して利益を得ることがあります。
スポーツ等で発覚すると、重い罰が下されることが通例です。
八百長の語源は、「八百屋の長兵衛」という人物に由来します。
長兵衛は相撲取りの伊勢ノ海と囲碁をしていましたが、野菜を買ってもらうためにわざと負けていたことがありました。
この事実が知られた結果、事前に勝敗を決める行為を長兵衛の名前から「八百長」と呼ぶようになりました。
八百長は特に大相撲でよく聞かれる言葉ですが、野球やサッカー、囲碁・将棋など他のスポーツやゲームにも用いられています。
写真業界の「八百屋にする」
写真業界では、「八百屋にする」という独特の言葉があります。
これは、写真撮影で対象を斜めに配置することを意味します。
野菜店では商品を見やすくするために段状に陳列されていることが多いです。
このように、写真の撮影対象を野菜店の商品のように斜めにすることから、この表現が生まれました。
野菜店での買い物を考えてみましょう
野菜店は主に野菜や果物を販売しており、店主はそれらの専門家です。
野菜や果物の保存方法、新鮮さの見分け方、調理法などについてのアドバイスがもらえることもあります。
また、スーパーマーケットでは見かけない珍しい野菜を扱っていることもあり、各店舗には独自の特徴があります。
「野菜店」が「やおや」と呼ばれるようになったのは、「青物」をたくさん売っていることからです。
スーパーマーケットでの購入が一般的かもしれませんが、地元に野菜店があれば、積極的に利用してみると良いでしょう。