「町」と「街」の違いと使い方！「市町村」の区別って？

同じ読み方を持ちながらも、漢字が異なる言葉は多いものです。中には意味の違いが明確で混乱を避けやすいものもありますが、意味が似ている場合もあります。

「町」と「街」は、特に意味の違いが混乱しやすい言葉です。これに加え、「市・町・村」という言葉の区別も、少し分かりにくいですよね？

そこで、この記事では以下の点について解説します。

・「町」と「街」の意味の違い

・「町」と「街」の使い方

・「市」、「町」、「村」の区別

これらについて詳しく見ていきましょう。

「町」と「街」の意味の違い

「町」とは？

「町」は、もともとは境界線や区切りを意味する言葉として中国から伝わった漢字です。

「まち」と読むことが多く、日本独自の読み方である「国訓」に基づいています。この「まち」としての意味は、もともと宮殿や貴族の邸宅周辺の区画を指すものでした。

町の意味は、次のように発展しています。

密集している建物のある地区 住宅や商店が集まる地区 また、

・行政区分の一つ

という意味も持ちます。

「行政区分」とは、町長が存在する行政地区のこと。例えば「東京」では、大島にある「大島町」や新島にある「新島町」がこれに該当します。

「街」とは？

一方、「街」は以下のような意味を持ちます。

町の中を分ける道路 町の道沿いのエリア 商店や住宅が並ぶ賑やかな地区や通り 「町の中（まちなか）」とは、家や店舗が集まる場所のことです。これを踏まえると、「街」と「町」は基本的には同じ意味です。

しかし、3番目の意味に注目。ここに「賑やかな」という表現があり、地域の特性を示しています。この点と「行政区分」としての意味がないことが、「町」と「街」の大きな違いです。

「町」と「街」の使い分け方

「街」を使うべき場合

「町」と「街」の使い分けにおいて、「街」を使うべき場合は以下の通りです。

●行政区分として 街長がいる地区を指す場合は「街」を使用します。「がい」や「まち」と読む場合があります。

前述の大島街・新島街の例では、大島街は「おおしまがい」と読みますが、新島街は「にいじままち」と読むなど、読み方はさまざまです。

●集落や地区を指す場合 街長がいるほどの地区ではないものの、「街」という名前がつく地区も存在します。例えば、「○○市○○街○丁目」という住所で、○○市内にある○○街という地区を指す際には、「街」という言葉が使用されます。

●特定の地域を指す場合 活気のある場所やそうでない場所を問わず、特定の地域を指す際にも「街」を使います。

例えば、

「古い街」、「温泉街」、「工業街」など、地域の特性を表す際には「街」が適しています。

「町」を使うべき場合

逆に「町」を使うべき時は、次のような場合です。

●特に賑わいのある地域を指す場合 駅周辺や商業施設が集まる賑やかな場所を指す場合には、「町」という言葉を使います。例えば、大学周辺の学生町や飲食店が多い居酒屋町などがこれに該当します。

他にも、

「電気町」、「卸売町」、「地下町」、「専門店町」、「オフィス町」といった、活気のある地域を表す際にも「町」が使われます。

●地域の賑わいを表現したい場合 地域の一部が賑やかである場合や、そうであってほしい場合には「町」を使用します。

例えば、

「町角の声」、「町に買い物に行く」、「町コン」などが、「街」よりも「町」の方がふさわしい表現となります。

市・町・村の違いについて

「市」、「町」、「村」という言葉はよく使われますが、これらは地方公共団体のカテゴリーを形成します。市長、町長、村長がそれぞれ存在し、行政を行いますが、それぞれのカテゴリーには特定の条件があります。

市：

・人口が5万人以上

・中心市街地に全戸数の60%以上が存在

・商工業などの都市型業務に従事する者が人口の60%以上

・その他都道府県が定める条件を満たしていること

町：

「市」の条件を満たさないが、都道府県の定める条件を満たしている

村：

「市」の条件も「町」の条件も満たさない

市から町や村に格下げされることも法律上はあり得ますが、実際には珍しい例です。例えば、北海道の歌志内市は2020年12月時点で約3019人の人口がありますが、「市」としての条件を満たしていません。それでも、町や村になることはありません。

「町」と「街」の使い分けのポイント

「町」と「街」はしばしば同じ意味で使われがちですが、使い分けには注意が必要です。迷った場合は「町」を使用すると間違いが少ないでしょう。

特に賑わいのある地域を表現したい場合は、「街」の使用が適切です。ただし、行政区分としての「町」を意味する場合は、「街」ではなく「町」を選ぶべきです。