私たちが日常的に利用する高層住宅、オフィスビル、ショッピングモール、鉄道プラットフォーム、さらには家庭用エレベーター。
これらは現代生活において不可欠なものとなっています。
近年では、利便性と快適性を追求したエレベーターや、エネルギー効率を考慮したモデル、さらには楽しさやリラクゼーションを提供するタイプまで現れています。
例えば、大阪のあべのハルカス展望台エレベーターは、16階から60階まで外の景色が見えないように設計され、約50秒の移動中には、流れ星のような幻想的な光の演出を楽しめます。
60階に到着すると、来訪者は心地よい感覚に浸ることができます。
さて、エレベーターの歴史はいつから始まったのでしょう?その動作原理についてはご存知ですか?
これからエレベーターの意外な事実、歴史、機能について掘り下げていきます。
エレベーターの日とは?ただの点検日ではない!
「エレベーターの日」をご存じでしょうか?実はこれは、年に一回の点検日だけではありません。
ここで、日本のエレベーターの歴史について探ってみましょう。
日本で最初のエレベーターは、1842年に茨城県の偕楽園に設置された人力エレベーターでした。
これは食事を運ぶために使われていました。
そして1890年、日本初の電動エレベーターが東京浅草の凌雲閣に設置されました。
この凌雲閣の開業日が11月10日だったことから、1979年に日本エレベーター協会はこの日を「エレベーターの日」と定めました。
当時の凌雲閣は12階建ての高層建築で、エレベーターは1階から8階まで利用されていました。
エレベーター内には座布団付きの椅子があり、外観を楽しむことができましたが、安全性の問題から運用は7ヶ月で終了しました。
では、「エレベーターの日」には何が行われているのでしょうか?
エレベーターの安全は、管理者の技術だけでなく、利用者の正しい知識とマナーも大切です。
そのため、エレベーターの日には安全利用を促すポスターやリーフレットの配布が行われます。
エレベーターの安全利用に関するポイントをいくつか挙げてみましょう。
・扉の敷居に物を落とさないようにし、落ちていれば拾う。
・閉じかけの扉に駆け込んで乗るのは避ける。
・マフラーやストールなど、長いものが巻き込まれないように注意する。
・定員・積載量オーバーにならないように、譲り合って乗る。
・エレベーター内での喫煙は禁止。
・一人でエレベーターに乗る際は、不審者がいないか確認する。
日々利用するエレベーターについて、この機会に改めて考えてみましょう。
世界のエレベーターの歴史は古い?
日本のエレベーターの初期に触れましたが、エレベーターの起源はなんと古代ローマ時代にまで遡ります。
荷物を上げ下ろすための滑車とロープを使う方法はアルキメデスによって考案されました。
1835年、人力以外の動力源として「蒸気機関」が誕生し、1852年には安全装置が取り付けられました。
これによりエレベーターは荷物輸送だけでなく、人の輸送にも使用されるようになりました。
1903年にはカウンターウェイト方式のエレベーターが開発されました。
この方式ではエレベーターの箱と重りをロープで結び、昇降させます。
これにより高層ビルへの設置が可能になり、安全性も向上しました。
これは現代エレベーターの基礎となる重要な技術です。
次に、現代のエレベーターの動作原理を見ていきましょう。
エレベーターの動作原理
エレベーターの駆動方式は大きく分けて2つあります。
ロープ式
ロープ式にはトランクション式(つるべ式)と巻胴式の2種類があります。
トランクション式は、エレベーターの箱とおもりをロープで繋ぎ、バランスを取りながら動くため、エネルギー効率が良いです。
一方、巻胴式では、建物の上部にあるドラムにロープを巻き付け、エレベーターの箱を吊り上げて動かします。
これは主に低層ビルや小規模な建物で採用されています。
油圧式
油圧式エレベーターは、主に低層の建物や荷物の運搬に用いられます。
油圧ジャッキを使い圧力をかけてエレベーターの箱を昇らせ、下降する際には油圧を抜く方式です。
さらに、将来に向けた環境に優しいエレベーターの開発も進んでいます。
リニアモーター式や水圧式などが、その一例です。
ユニバーサルデザインのエレベーター
エレベーターは古代ローマ時代から進化し続けており、技術革新のみならず、利用者の利便性やアクセシビリティにも注目しています。
エレベーター内にある大きな鏡は、単なる装飾ではありません。
車椅子ユーザーが後ろ向きで降りる際に後方を確認できるようにするため、また、視覚障害者向けに点字が付いたボタンや、高齢者、子供、車椅子ユーザーが押しやすいように設置された低い位置のボタン、手すりなどの工夫がされています。
また、複数のエレベーターがある場合には、どのエレベーターが最短で到着するかを自動で選択するシステムがあり、待ち時間の短縮に役立っています。
このように、エレベーターは全ての人が便利で快適に利用できるように、様々な工夫が施されています。
次回エレベーターを利用する際には、これらの工夫に注意してみると、新たな発見があるかもしれません。