眠れない夜、羊を数えるという昔からの話を聞いたことはありますか?ベッドに横たわり、「一匹の羊、二匹の羊…」と数えていると、あっという間に睡眠の世界へ。そう、羊は「一匹」と数えるのですが、他の動物には「一頭」という表現が使われることもあります。
では、なぜ動物を「匹」と「頭」で数えるのでしょうか?この記事では、以下の内容についてご説明します。
・「匹」と数える理由
・「頭」と数える理由
・どちらを使うべきかの基準
これらの知識を持てば、眠れない夜に思い悩むことも減るでしょう。
なぜ「匹」と数えるの?
貨幣単位としての起源
「匹」という単位は元々「疋」と書かれていましたが、現在は「匹」が一般的です。
「疋」は古日本での貨幣単位で、「徒然草」によると1疋は30文とされていました。さらに、皇室では金貨を数える際にも使われ、「1分の金は100疋、1疋は2厘5毛」とされていたのです。
馬が関係する歴史
「匹」が動物を数える単位となったのは、馬との深い関係があります。昔の馬は運搬や農耕に不可欠で、馬の特徴的な尻や引き綱から「匹」という言葉が誕生、「一引き、二引き…」の数え方が転じて「匹」となったと言われています。
昔は全てが「匹」
かつて、どんな動物も「一匹・二匹」と数えられていました。「源氏物語」や「今昔物語集」にもそうした用例が見られ、ネズミや熊、イノシシも全て「一匹」とされていたのは明治時代までのことです。
「頭」と数えるのはなぜ?
英語由来の数え方
「頭」という数え方が普及したのは、明治時代後半で、その背景には英語があります。「Head」という表現が、牛などの数を頭数で確認することから来ており、明治時代に増えた西洋文化と英語の書物により、「Head」が「頭」と訳され日本で定着しました。
「匹」と「頭」の使い分け
基準は大きさ
動物を「匹」と「頭」で数え分ける際の主な基準はその大きさです。
・人が抱えられる大きさまでは「匹」
・それより大きい場合は「頭」
たとえば、先述の馬は「一頭」と数えます。羊は基本的には「一頭」ですが、眠れない夜に数える際は「一匹・二匹」としても問題ありません。
状況によっても異なる
例えば、ライオンやトラの子供は小さいですが、成長すると人よりも大きくなります。このような場合は、子供のうちは「一匹」と数え、成獣になったら「一頭」と数えます。
また、盲導犬や実験用マウスなど、人の役に立つ動物は大きさに関わらず「一頭」と数えることが一般的です。絶滅危惧種の動物も、大きさに関係なく「一頭」とされます。
例外的な数え方
〇鳥類と魚類 通常、哺乳類は「一頭」または「一匹」と数えますが、鳥類と魚類には特別なルールがあります。
・鳥類はサイズに関係なく「一羽・二羽」
・魚類は「一匹」または「一尾」
〇コウモリとウサギ コウモリは空を飛ぶが哺乳類なので「一匹・二匹」、一方、ウサギは哺乳類ですが「一羽・二羽」と数えられます。
これは、仏教の教えにより肉を食べることが避けられた時代に、ウサギの長い耳を羽と見なして食べることが許されたためです。また、ウサギを耳で束ねた「一把」が言葉が変化して「一羽」となったとも言われています。
どの表現も正解
動物の数え方には「匹」と「頭」があり、状況や動物の大きさによって使い分けることができます。どちらを使用しても間違いではないので、この歴史ある数え方を知ることで、眠れない夜を有意義なものにしましょう。